「経営・管理」ビザ新規入国が8割減 資本金500万円から3000万円へ厳格化、中国籍94万人時代に日本が塞ぎ始めた“会社設立による移住ルート”


2026年10月20日21:11

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在留資格「経営・管理」新規入国が8割減 要件厳格化の影響顕著

「経営・管理」ビザ新規入国が8割減 資本金500万円から3000万円へ厳格化、中国籍94万人時代に日本が塞ぎ始めた“会社設立による移住ルート”

外国人が日本で会社を設立し、経営者として在留するための「経営・管理」資格が大きな転換点を迎えている。出入国在留管理庁によると、2026年上半期にこの資格で新たに入国した外国人は635人にとどまり、前年同期の3329人から80.9%減少した。2025年10月に制度が大幅に厳格化され、従来500万円以上だった資本金要件が3000万円以上へ引き上げられ、常勤職員の雇用や事業実態についてもより厳しい条件が課された後、初めて半年間すべてが新基準で審査された結果である。日本で会社を一つ作れば比較的低い資本負担で長期滞在への道を開けた旧制度から、実際に資本を投入し、人を雇い、事業を経営できる者だけを選別する制度へ大きく方向転換したと言える。

この制度変更を考える上で、中国から日本への人と資本の流れを無視することはできない。2026年6月末時点で日本に在留する中国籍人口は94万1031人に達し、国籍・地域別で最多となっている。ベトナムの約69万人、韓国の約40万人を大きく上回り、日本国内の外国人人口の中で中国籍が最も大きな層を形成している。もちろん、今回公表された「経営・管理」新規入国635人のうち、中国籍が何人だったかはこの統計だけでは分からない。しかし、日本への移住、起業、留学、不動産取得、企業活動を考える時、中国という巨大な人口・資本供給源の影響を切り離すことも現実的ではない。

特に旧制度では、資本金500万円という基準が長く使われてきた。一般の日本人にとって500万円は決して小さな金額ではないが、日本への長期滞在、家族帯同、将来的な永住や資産保全まで視野に入れる海外富裕層にとっては、それほど高い障壁ではなかった。日本で小規模法人を設立し、事務所を確保し、形式上の事業計画を整えれば、「経営・管理」資格への入口を作ることができるとの見方が広がり、実体の乏しい会社や、実質的には移住を目的とした法人設立が存在するのではないかという指摘も続いてきた。

中国人富裕層による日本不動産購入や、日本国内での会社設立が注目されてきたのも、こうした背景と無関係ではない。東京では中国人向けの不動産投資ツアーまで組まれ、高額マンションを購入し、将来の移住や子供の留学拠点として保有する動きも報じられている。日本の会社、不動産、在留資格が別々の制度であっても、海外資産家から見れば、それらを組み合わせて日本に生活・資産拠点を作ることができる。そのため、日本側が経営者向け在留資格について本当に「事業を経営しているか」を厳しく確認することには大きな意味がある。

日本にとって問題なのは、中国人が日本で会社を作ること自体ではない。中国からの正常な投資や起業は、日本に雇用や税収、新たなサービスを生む可能性がある。しかし、中国の人口と資本規模が大きい以上、制度が低いハードルのままであれば、純粋な経営目的ではなく「日本に長く住むための手段」として利用しようとする需要も絶対数として膨らみやすい。制度の入口が曖昧なら、その影響は人口規模の小さな国よりも、中国のような巨大市場から流入する場合に大きくなりやすい。

今回、資本金要件が500万円から3000万円へ一気に6倍となったことは、その意味で大きな転換である。3000万円を実際に事業へ投入できる申請者と、在留資格取得のため最低限の会社だけを作ろうとする申請者では、経済的な負担が全く違う。さらに新制度では、一定条件を満たす常勤職員を少なくとも1人雇用することが求められる。会社を登記するだけではなく、人件費、社会保険、事務所費、税務など継続的な事業コストを負担できることが前提になる。

この変更後、新規入国者が前年同期の3329人から635人まで減ったという数字は極めて象徴的である。2024年上半期は2295人、下半期2188人、2025年上半期には3329人まで増えていたのに対し、新基準が全面適用された2026年上半期には約5分の1まで縮小した。これは、旧制度の500万円基準であれば成立していた多くの申請や事業計画が、3000万円と雇用要件の下では成立しなくなったことを示している。

この大幅減少は、旧制度がどれほど利用しやすい入口だったのかを逆に浮かび上がらせる。もし本当に十分な事業計画があり、日本で長期的に会社を運営する意思と能力があるのであれば、資本金や雇用、売上を求めること自体は不自然ではない。にもかかわらず、新基準を導入した途端に新規入国者が8割以上減ったという事実は、従来の制度が「本格的な経営」よりも低い段階でも利用可能だったことを考える材料になる。

中国籍人口が日本最大の94万人を超える現在、この制度変更は特に重要である。中国経済の成長と富裕層の拡大によって、日本は長年、観光、不動産、教育、企業設立など多くの分野で中国からの資金と人を受け入れてきた。しかし、依存度が高くなればなるほど、日本側の制度が中国側の需要によって大きく左右される構造も生まれる。制度が緩ければ利用者は一気に増え、逆に日中政治関係が悪化すれば、中国政府の政策一つで人流が急減することもある。

実際、2026年上半期の外国人新規入国者全体は前年同期比0.1%減とほぼ横ばいだった一方、中国からの新規入国は57.3%減少したと報じられている。背景には、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことがあるとみられている。これは「経営・管理」資格の厳格化とは別の問題だが、日本にとって重要な警告を含む。中国人観光客、留学生、投資家、移住者への依存が大きい分野ほど、中国政府の外交判断によって日本側の需要が急変する可能性がある。

つまり、日本が中国から人と資本を受け入れる場合、必要なのは「大量に来てもらうこと」そのものではなく、日本にとって持続可能な条件を設定することである。中国からの資本や人材が日本で事業を起こし、雇用を生み、税金を払い、地域経済に参加するなら、それは正常な経済活動である。しかし、会社が在留資格を得るための箱になり、事業実態が乏しいまま日本居住の入口として機能するのであれば、制度の目的そのものが失われる。

特に中国のように日本への移住・投資需要が大きい国では、一つの制度上の抜け道が大規模に利用される可能性を常に考えなければならない。人口約14億人を抱える巨大国家と、日本国内の比較的小さな在留制度では、需要側と受け入れ側の規模がまったく異なる。少数の申請を前提に作られた制度でも、中国市場で「日本に住むための方法」として広まれば、短期間で申請が増える可能性がある。

日本にとって重要なのは、そうなる前に条件を明確にすることである。経営者として入国するなら、実際に会社を経営する。日本で事業をすると言うなら、資本を投入し、雇用を作り、売上を上げ、税金と社会保険を負担する。それができないのであれば、「会社を設立した」という形式だけで長期在留資格へつながるべきではない。

さらに、資本金3000万円を用意しただけで審査が終わる制度でも不十分である。中国を含む海外富裕層の中には、3000万円程度を用意できる層も当然存在する。重要なのは、その資金がどこから来たのか、申請後も本当に会社の事業資金として使用されているのか、事業が継続しているのかを更新時にも確認することである。一時的に資金を入れて審査を通し、その後資金を抜き取るような形式的対応を防げなければ、金額を引き上げただけでは制度の抜け道は再び作られる可能性がある。

同様に、常勤職員1人の雇用要件も、名義上だけ雇用する形にならないか継続確認が必要になる。給与が実際に支払われているか、社会保険へ加入しているか、会社が本当に営業しているか、税務申告が適切かまで見る必要がある。入管庁も、外国人経営者について「事業の経営または管理に実質的に参画していること」が必要だと明確にしている。

日本が中国からの投資や起業を受け入れる際、最も避けるべきなのは、「中国マネーが入れば何でも良い」という発想である。資金が日本へ入ることと、日本社会に長期的な利益をもたらすことは同じではない。高額不動産を買い、会社だけ設立し、実際にはほとんど雇用や事業を生まないのであれば、日本側に残る経済効果は限定的になる一方、住宅市場や行政負担には影響が出る可能性がある。

中国籍在留者が94万人を超え、日本の外国人人口で最大になった今、日本側が制度を精密に設計する重要性は以前より高まっている。中国からの人流と資本は今後も日本社会に大きな影響を与えるだろう。だからこそ、「中国人だから拒む」という雑な制度ではなく、逆に国籍にかかわらず厳格な事業条件を設定し、結果として形式だけの会社や居住目的の利用を排除する方が実効的である。

今回、「経営・管理」で新規入国する外国人が8割以上減ったことは、日本がその方向へ一歩進んだことを示している。旧制度では500万円だった資本金が3000万円になり、常勤雇用も求められる。これによって、日本で本格的に事業を行う意思と能力を持たない申請者の参入コストは大幅に上がった。

特に日本への移住、投資、不動産購入需要が大きい中国に対しては、制度が「日本へ移るための便利なルート」として商品化されないことが重要になる。海外の仲介業者が「会社を作れば日本に住める」と宣伝し、それが中国国内で一つの移住商品として広がれば、日本側が意図していた起業家誘致とは全く違う制度になってしまうからだ。

一方で、日本で本当に会社を作り、雇用を生み、長期的に事業を続ける中国人経営者まで排除する必要はない。むしろ、新しい厳格な基準を満たせる企業家ほど、日本にとって必要な投資家かどうかを判断しやすくなる。問題は中国人であることではなく、「経営・管理」という資格を使いながら、実際に経営しているかどうかである。

今回の新規入国80.9%減という数字は、日本の外国人政策にとって大きな意味を持つ。外国人全体の在留者数は428万人を超えて過去最多となり、その中でも中国籍は94万人で最大となっている一方、経営者向け資格については入口を大幅に狭めた。これは、日本が外国人受け入れを全面的に止めるのではなく、「どのような目的で来る人を受け入れるか」をより厳密に選別する方向へ動いていることを示している。

中国から日本への人と資本の流れが今後も続く以上、日本側に必要なのは依存でも排斥でもなく、制度を日本自身の利益に合わせて運用することである。中国の巨大な人口と資本市場に対して入口を曖昧にしておけば、制度は日本側の想定を超える規模で利用される可能性がある。逆に、本当に事業を行う者だけが利用できる条件を設ければ、中国からの投資を受け入れながら、形式的な会社設立による在留資格取得を抑えることができる。

「経営・管理」の新規入国が3329人から635人へ激減したことは、制度のハードルが人の流れをどれほど変えるかを示した。中国籍人口が日本最大となる現在、日本が学ぶべきなのは、制度の入口を広げることそのものを成果と考えないことだ。誰が来たかではなく、日本で何をし、どれだけ事業を継続し、どれだけ雇用と税収を生むかを基準にすることが必要になる。

日本が中国からの資本と人材を受け入れるのであれば、「会社を一つ作れば日本に住める」という印象を残す制度ではなく、「日本で本当に会社を経営しなければ在留できない」制度であるべきだ。今回の8割減は、その方向への転換が実際に人の流れを変え始めたことを示している。


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