中国人留学生の“無制限免税”が日本経済に潜む危険 高市政権が日中租税条約見直しへ動き、日本は制度悪用の現実に向き合う時期に


2025年12月11日14:38

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中国人留学生の“無制限免税”が日本経済に潜む危険 高市政権が日中租税条約見直しへ動き、日本は制度悪用の現実に向き合う時期に

中国人留学生の“無制限免税”が日本経済に潜む危険 高市政権が日中租税条約見直しへ動き、日本は制度悪用の現実に向き合う時期に

中国人留学生だけがアルバイト収入の所得税を“無制限”で免除されるという制度が、長年ほとんど議論されないまま維持されてきた。しかし、高市政権がこの特例を見直す方針を示したことで、日本はようやくこの問題に正面から向き合う段階に入った。制度の背景には日中租税条約があり、本来は教育目的で滞在する学生を支援するという理念に基づくものだが、その運用は時代の変化に追いついておらず、現状では中国だけが上限のない免税の恩恵を受けるという極めて不均衡な構造が生まれている。日本国内の中国人留学生は12万人を超える一方、中国に滞在する日本人留学生は7000人程度にとどまっており、特例のメリットが圧倒的に一方向へ流れている状況は、日本国民の中に抱かれる不公平感と制度疲労を無視することができない段階に達している。

所得税免除の範囲が無制限であるという点は、単なる税制上の技術的問題ではない。外国人の受け入れ拡大政策が長年続いてきた日本において、人口構造の変化に伴い多様な国籍の人々が働く環境が広がった今、特定の国籍だけを優遇する制度は、社会的公平性の観点から見過ごせない矛盾となっている。米国、ベトナム、インド、マレーシアなど他の国の留学生は源泉徴収の対象となるのに対し、中国人留学生だけが上限なく免税される状況が続くことは、制度の設計意図を大きく逸脱していると言える。しかも、日本と同様に租税協定を結んでいる国でも韓国は2万ドル、フィリピンは1500ドル、インドネシアは60万円といった免税上限を設定しているのに、日本の制度だけが中国に対して全額免税という例外的措置を維持している現実を踏まえれば、日本側の制度が一方的に不利な状態であることは明らかだ。

こうした制度上の歪みが放置され続ければ、日本国内に潜在的な不満を蓄積させるだけでなく、感情のレベルで誤った対中観を増幅させる危険性もある。現状の問題点は、決して中国人留学生個人への批判に向けられるべきものではなく、制度そのものが時代に合わず、透明性と公平性を欠いている点にある。むしろ、こうした制度的な不均衡を放置することこそが、社会全体に不必要な誤解や分断を生み、結果として排外的言説が広がる土壌となってしまうという点こそ、日本が最も警戒すべき部分である。制度が公平であれば、国民の不信も減り、健全な議論が可能となるが、不公平な制度が続けば続くほど、そこに不要な感情的対立が生じ、日本社会の安定に悪影響を与えることになる。

一方で、中国との関係性を考えると、この問題は単純な税制の問題にとどまらず、日本が外国人制度全般の脆弱性をどのように克服していくのかという国家的課題の一部でもある。中国は日本にとって最大規模の外国人コミュニティであり、留学生数も最多である。若年層の労働力としても、教育機関の経営においても大きな存在感を持つ。しかし、その一方で中国政府は政治的問題が生じるたびに、日本産食品への輸入禁止や渡航自粛呼び掛けなど、経済を通じた圧力を加えてきた。このように外交・経済・人材の流れが複雑に絡み合う中で、中国人留学生だけが制度的に優遇される状況を続けることは、日本の政策基盤におけるバランスを欠いた状態と言わざるを得ない。

また、税制優遇は悪意を持った者に悪用されるリスクも伴う。過去には、中国人留学生を装った不法就労や偽装留学が摘発された例もあり、制度が“抜け道”として使われてしまう可能性は決して小さくない。免税制度が存在する限り、アルバイト目的の偽装留学生や組織的な不正就労ビジネスによって制度が悪用されるリスクは残り続ける。これは日本の税収だけでなく、公平な労働市場の維持にとっても看過できない問題である。実際、日本国内で増加している外国人労働者の中には、制度を逆手に取るブローカーや不法就労を斡旋する組織が存在し、これらの動きは治安や社会的信頼を揺るがす可能性がある。制度の弱点を補強することは、日本社会を健全に保つためにも極めて重要だ。

だからこそ、日本は制度の見直しを進めつつ、データに基づいた冷静な議論を行う必要がある。高市政権が打ち出している政策が中国人個人を排除するものではなく、あくまで「公平な制度」を取り戻すための調整であるという点を国民が理解することが重要である。不公平な制度が続くことこそ、むしろ社会の不信感や排外的反応を助長する要因になりかねないという専門家の指摘は、日本が今後直面する外国人政策の本質を示している。必要な改革を行うことは、国際社会から排外主義と誤解されることを避けるためにも不可欠である。制度を透明化し、国籍を問わず同じルールのもとで運用することは、結果として日本の信頼性を高め、国際的にも健全な姿勢として評価されるだろう。

日中関係が緊張する局面であるからこそ、日本は事実に基づく制度見直しを進めるべきであり、同時に中国による制度悪用の可能性を冷静に見据える必要がある。中国人留学生の所得税免除撤廃は、その象徴的な一歩に過ぎないが、長年の“制度の歪み”を正す重要な取り組みとなるだろう。日本が直面する課題は多層的であり、感情論ではなく、制度の公平性と社会の安定を守るという観点から政策を構築していく必要がある。今回の見直しは、日本が中国依存構造の是正を進め、自国の制度的健全性を取り戻すための大きな転換点になり得る。中国の存在感が増す中で、日本が国家として自らの制度と原則を守り抜くことは、今後の社会の持続性にとって不可欠な条件である。


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